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2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦
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2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦

2026.08.31
永野設備工業株式会社

永野設備工業株式会社 / 代表取締役社長 永野祥司 氏


永野設備工業は水道をはじめ、衛生設備工事の施工、設計、管理などを行う大阪府岸和田市の企業だ。代表取締役の永野祥司社長は創業した2000年代当時、設備工事の会社としては珍しい一般向けのECサイトを開設し、事業を軌道に乗せた。その後は2度の経営危機に直面しながらもそれを乗り越え、現在はAIを最大限に活用して業務の効率化を図っている。そんな永野社長に社の成り立ちからAI導入に至った現在、そして社と社会の未来の姿までを語ってもらった。

2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦


実家はこのあたりの地場産業でもある毛布の製造業を営んでいたのですが、僕が中学生のころはすでに斜陽化していて、跡を継ぐことは考えていませんでした。将来を選ぶにあたって、この先もなくならない仕事は何だろうと考え、水回りなら改修も発生するし、水道の設備屋さんで行こうと思ったんです。それで工業高校に進み、卒業後は会社に勤めながら設備工事を学んで、2000年に25歳で独立しました

独立当初は個人事業だったが、ほどなくして人を雇い入れる規模になった。今で言うITの分野には当時から手を伸ばし、独立当初から、自力で自社のホームページを制作した。

当時は、これからは中小企業もホームページくらいなかったらアカンという時代になってきていました。でも業者に頼むと、月に2万5千円かかると。独立したばかりでお金がそんなになかったし、もったいないから自分で作ろうと思ったんです

以前からパソコンが好きだったので、近所の家電量販店にホームページを作るソフトを買いに足を運んだ。

ECショップを作るソフトしかなかったのですが、それを買ったら普通のホームページも作れる機能があったんです。せっかくショッピングカート機能(※1)があるなら、もったいないから使おうと思って、自社のホームページに、在庫商品を販売するシステムを組み込みました。すると、そこから売れていったんです。それがきっかけで、インターネットでの売り上げがすごく伸びました

※1   ショッピングカート機能とは、ECサイトで商品を選んで一時的に保存し、合計金額の計算や購入手続きを行う仕組みのこと。スーパーなどの買い物カゴと同じ役割を果たす。


先駆けのECサイトで業績を伸ばすも
2度の経営危機に直面する



当時はネット通販がまだ広く普及しておらず、現在は6.3兆円を誇る楽天市場の売り上げ(※2)が1億円に達したことがニュースになったくらいだ。そんな時代に一般顧客向けに給湯器などを販売すると、思いのほか売れた。永野設備工業は設備工事業とともに、インターネットを通じての売り上げも順調に伸ばしていった。しかし、好事魔多し。2010年に最初の危機が訪れる。

※2   楽天グループの現在の国内EC流通総額
https://netshop.impress.co.jp/e/2026/02/13/15586


そのころは工事のほうも仕事はなんでも取りたいと思って手を広げていたら、取引先が2社倒産して4000万円の不渡りをつかまされたんです。内部留保なんかしていたら会社が伸びないと、宣伝広告費や機械の購入にお金をバンバン使っていました。今になって冷静に振り返ると、イケイケでしたね。そんなところに不渡りがきて、一気に債務超過に陥ったんです

それを経験して、経営の在り方を根本から見直した。どんな仕事でも取ってくるスタンスから、少しでも怪しい相手とは縁を切り、信頼できる取引先だけを残す。仕事の数ではなく質にこだわることにシフトしていくうちにそれが認められ、紹介を通じてまた仕事が増えていき、債務超過は予定より早く解消した。

しかしそれから10年もしないうちに、次の危機に直面する。2019年にGoogleが検索アルゴリズムを変更し、それによって上位に表示されていた自社の検索結果が大きく後退。売り上げに大きな影響が出た。

当時はインターネット関連の売り上げが、会社全体の5割ほどを占めていたんです。Googleが検索アルゴリズムを変更して上位表示が大きく後退し、インターネット関連の売り上げが半分になって、毎月多額の赤字が発生しました。このままでは縮小もやむなしと思っていたところに、ある会社の社長さんから『強みを出さなアカン』とアドバイスをいただきました

『ウチの強みって、なんやろ』。永野社長は考えた。

すると、その社長さんが『永野さんとこは、工事ができるやろ。ほかはみんな、ウェブ会社や。そこの社長らは、自分で工事なんかしたことないで』と。それを聞いて『そうか!』と合点がいきました。確かに僕は工事ができますし、その経験やノウハウを語ることもできる。そこからYouTubeで自社のチャンネルを開設して、それを前面に出して発信していったりして、徐々にですが回復していきました

住設ドットコムチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCO3OYm3hzHgEKCiGpvNJA_g
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水道職人!ながちゃんねる
https://www.youtube.com/channel/UCN7TN7Jjl9D1wiNAWcgJSxg
2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦

2度の危機を乗り越え、社の過去最高益が1億円に達した。その瞬間に達成感なのか、燃え尽き症候群のようなものなのか、「もう、ぼちぼちでエエか」と、気持ちの中の上昇志向に影が差した。それが災いしてか、その1年半後に売り上げが大きく落ち込む。若手社員の中には自分の未来に希望が持てないと、社を去る者も現れた。そこで、あらためて気が付いた。ワクワクする経営をしないといけない。変化を楽しまないといけない、と──。

会社はずっと成長し続けないと、社員のモチベーションが上がらない。若い子だけではなく、僕らも夢や希望を持っておかないとアカンということにあらためて気付いた。それが、去年のことなんです

こうして再び湧き上がった「変化を楽しむ」という熱い思いを胸に、同社は2025年10月に同業のエクステリアECを行う会社の株式を100%取得してM&Aを成立させた。これにより、永野設備工業はさらに幅広いエクステリア関連のニーズに一貫して応えられる体制を構築することとなり、過去8年間赤字が続いていた同社を、買収後、黒字へと転換させたのである。

2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦

2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦

今はまた、独立したてのイケイケな感覚みたいなものがありますね。その代わり、1年くらいまともな休みがなくてシンドいですけど(苦笑)。それでも、面白いんですよ。そういう気持ちになって経営への向き合い方も、また変わってきました



AIを使いこなし、これからの時代に対応
最先端を行く水道屋を目指す



今、永野社長が精力的に取り組んでいるのがAIの導入だ。なぜ設備工事を行う会社が、AIを取り入れるのか。

数年前にまだ一般的に話題にもなっていなかったChatGPTを知って、これは使えるなと思いました。自分で触りながらあれこれと探求していって、使いこなせるようになったら、もっと面白くなってきたんです。社内にはシステム担当が4人いましたが、もっとスピードを上げるためにAIを使っていきなさいと指示を出すようになりました。2年前にはITソリューション事業部を立ち上げて、クライアントさんもできました。会社全体ではさらに売り上げが伸びる見込みで、そのための仕事をこなすのにAIを活用していく計画です


創業から四半世紀を迎え、従来からの設備工事とECに、AIを活用したITソリューションを加えて3本目の柱にする。そんな社を率いるトップの目には、永野設備工業の短中期的な未来の姿がどう映っているのか。

まずはAIによる業務効率化で、その最先端を走りたいと思います。これがある程度落ち着いたら、社内でアプリが作れる人をいかに多く育てられるかを目指す。それが上手く機能したら、外部に売っていくことがひとつの目標です。だけどアプリを作るのも、職人仕事なんですよね。言われたことをやる仕事ではなく、新しく発想できることが求められます。そのほうが実用的なシステムを作ることができ、本当に役立つ業務効率化につながるんです


2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦


祖業である設備工事も、疎かにはしない。

今後は工事の技術が簡素化されてきますので、そちらの職人仕事は減っていくでしょう。そんな中でも、職人の価値を高めていきたいと考えています。AIなどを使ってシステム化し、現場管理までをひとりの人間が全部こなすことで、現在の収入基準の2~4倍になることも可能になる計算です。そういう時代がもう目の前に来ていますので、逆にそれを魅力に感じる若い子にどんどん任せていきたいです。そうなれる仕組みを、作っていこうと考えています

その先の、創業50周年を迎える2050年代。そのころの自らが興した会社、そして社会の姿を、最先端のAIを駆使する永野社長はこうイメージする。

弊社の姿は漠然としていますが、最先端の水道屋ですね。周りにすごいと言わせて、よそが真似したくなる。そんな水道屋を目指したい。そのころには、下手したらヒューマノイドロボット(※3)が配管をしているかもしれません。そうなったら運送業の車は自動運転になっているでしょうし、倉庫もロボットが働いて、職人の仕事もロボットに置き換わっているかもしれません。そういう時代に突入するイメージが、僕の中に湧いています

※3   ヒューマノイドロボット(人型ロボット)とは、頭部、胴体、腕、脚を備え、人間の身体構造や動作を模して作られたロボットのこと。二足歩行での移動や手先での作業により、人間向けの環境・道具へ高い適応性を持つ。


そうなったら人間は、何をするのか。
僕には子どもが3人いますが、この子たちが将来、今の僕の年齢になって何をやっているかと考えると、決裁責任を取るくらいしかないんですよ。なんらかの資格を取って、そのその資格に基づいて承認ボタンを押すのが仕事。そんな時代になるんじゃないかなとイメージしています。まだ先のことですが、時代が移り変わるスピードは昔と比べて圧倒的に速いですから。つねに最先端の情報をキャッチして、対応していこうと備えています


2度の危機を乗り越え、ITとAIで挑む!最先端を行く水道屋の挑戦

一時は落ち着いてしまった経営への熱意に再び火が点いた今の永野社長は、未来を生き生きとした表情で話していたのが印象的だった。つねに時代の一歩先を進む設備会社の社長は、これからも時代の風向きを読みながら、社を前に進めていくことだろう。

永野設備工業株式会社
本社:大阪府岸和田市土生町2-11-45
オフィシャルサイト:https://www.ns-co.jp/